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< 発達支援センターとは? > 「 発達障害者支援センター等の概要とその解説 」
目 次 T.『 概要 』 1.発達障害者支援センター等の定義 2.国及び地方公共団体の設置義務 3.発達支援センターの主要機能 U.『 発達支援センターの必要諸室とその詳細 』 1.相談機能 2.療育機能 3.情報機能 4.検査(診断)機能 V.『 解説 』 1.発達支援センターの現状とその方向性 2.建築空間がもたらす療育的効果 3."診断"機能を含めない理由の詳細説明
T.『 概要 』
1.発達障害者支援センター等の定義
発達障害者支援センター等とは、発達障害者支援法において、「発達障害者
支援センター」と「専門的な医療機関」の二つを指します。
「発達障害者支援センター」は、@発達障害児の早期発見、早期発達支援の
ために、発達障害者とその家族に対して、専門的に相談に応じ、助言を行うこ
と、A専門的な発達支援(療育)と就労支援を行うこと、B関係機関や民間団
体に対し、発達障害についての情報提供と研修を行うこと、C発達障害に関し
て医療的業務を行う機関等と連絡調整を行うこと、を目的とした施設で、都道
府県知事が指定した社会福祉法人か、都道府県自らが業務を行う施設を言いま
す。
「専門的な医療機関」は、専門的に発達障害の診断と発達支援を行うことの
できる病院又は診療所で、都道府県が認めたものを言います。
2.国及び地方公共団体の設置義務
発達障害者支援法の中で、「専門的な医療機関」については、第三章第十九
条で、都道府県が確保しなければならない旨が明記されています。
「発達障害者支援センター」については、「発達障害者支援センターの指定
等」について定めた第三章第十四条1項で、「指定した者に行わせ、又は自ら
が行うことができる」、2項で、「当該指定を受けようとする者の申請により
行う」と表現され、この部分だけを見ると、国と地方公共団体の責務があいま
いと解釈され兼ねませんが、「国及び地方公共団体の責務」について定めた第
一章第三条2項で、「国及び地方公共団体は、発達障害児に対し、発達障害の
症状の発現後できるだけ早期に、その者の状況に応じて適切に、就学前の発達
支援、学校における発達支援その他の発達支援が行われるとともに、発達障害
者に対する就労、地域における生活等に関する支援及び発達障害者の家族に対
する支援が行われるよう、必要な措置を講じるものとする。」と明記されてお
り、この「必要な措置」の内容が、発達障害者支援センターの業務と目的その
ものであり、「専門的な医療機関」だけでは、その業務を補完できないことか
ら、「発達障害者支援センター」についても、その設置は、国及び地方公共団
体の義務であると言えます。
( 尚、当ホームページにおいては、以下「発達障害者支援センター」は、「発
達支援センター」と表記させていただきます。)
3.発達支援センターの主要機能
1.相談機能
2.療育機能
3.情報機能
4.検査(及び診断)機能
の4機能に大別されます。
ただし、多くの施設では、診断機能を常設で維持することは困難と思われ、
「専門的な医療機関」がその機能を担うことが一般的になると考えられますの
で、ここでは診断機能は括弧書きとしました。
( 詳しくは、>>「"診断"機能を含めない理由の詳細説明」を参照下さい )
( 目次 へ戻る>> )
U.『 発達支援センターの必要諸室とその詳細 』
1.相談機能
@受付 ⇒5〜6u(3〜4畳)程度
多くの場合、子育てに不安を感じる保護者が、自主的に相談に訪れることと
なりますので、そのはじめての出会いの場となる受付は、最も重要な要素の一
つです。子育て支援の延長線上に立った、柔軟で、オープンな印象と、落ち着
いた安心できる雰囲気を、空間にも体現する必要があります。
受付は、必ずしも誰かが常時待機している必要は無いと思われます。個々の
ケースにもよりますが、療育室やラウンジ等と隣接させ、また事務室とも連携
させることにより、すべての職員が受付を兼務する体制とする方法も考えられ
ます。その場合には、受付の面積は、最小限の5〜6u程度確保すれば充分と
考えられます。居合わせた職員が、訪問者にすぐに声を掛ける体制は、職員の
省力化に貢献するだけでなく、気さくな雰囲気を演出する意味でも効果的と言
えます。
また、受付を玄関近くに設け、また玄関をガラス張りとするなどして、外部
からの見通しが利く様に配慮することは、分かり易さと同時に、入り易さも演
出する効果がありますので、併せて検討すると良いでしょう。
直接の訪問のほかに、電話による相談も想定されますが、コードレス子機を
複数台配備することにより、手の空いている職員すべてが、「電話の窓口」と
もなり得ますので、こちらも併せて検討すると良いでしょう。
受付はまた、定期的な療育プログラム利用者が、職員と連絡帳や療育カルテ
などをやり取りする場ともなります。対面カウンターをオープンにするなど開
放性に配慮すると同時に、プライバシーの保護を必要とする書類の保管場所と
もなりますので、吊戸棚などを設けると共に、鍵の有無についても考慮する必
要があります。
A行動観察面談室 ⇒30u(18〜19畳)程度
面談と行動観察を平行して行う為の居室です。0歳〜3歳までの乳幼児・幼
児の相談は、特に、集団で遊んでいる状態を観察しながらカウンセリングする
ことが必要となります。親子3組程度と、各組に対応したカウンセリングスタ
ッフのチームが、同時に利用できる大き目の空間が必要となります。
尚、行動観察面談室として利用しないときに、補助的に療育室として利用す
ることは可能ですが、あくまでも面談の際は、療育プログラムと切り離して利
用する必要がありますので、注意が必要です。
B個別面談室 ⇒13u(8畳)程度
高学年の学齢児や、青年、成人の相談については、個室による個別相談が必
要となります。また、幼児の場合でも、保護者から個別相談を求めるケースも
想定されます。
面積的に制限がある場合には、応接室や、小会議室などと併用してもかまい
ませんが、プライバシーが確保でき、また落ち着いた空間であることが必要と
なります。
Cミラー観察室 ⇒6〜7u(4畳)程度
4歳以上の幼児や、学齢児においては、保護者と離れた状態での行動観察も
必要となるため、マジックミラー越しに面談室が観察できる附室の検討も必要
です。大きさは、保護者と職員の2名が腰掛けられる最低限の空間で良いと思
います。
尚、ミラー室の様な直接観察では無く、ビデオなど電子機器を用いた観察方
法も物理的には可能ですが、プライバシー保護の観点から、避ける傾向にあり
ます。
2.療育機能
@療育室(プレールーム)大 ⇒80u(50畳)程度
小 ⇒30u(18〜19畳)程度
「 療育室の使われ方 」
年齢により療育方法が異なりますので、乳幼児(初期療育)、幼児、学齢児、
青年・成人、などに分けて考える必要があります。最低でも大小2タイプの療
育室が必要となります。
乳幼児、幼児、学齢児の療育は、遊びを通して行うこと(プレーセラピー)
が基本となります。特に、乳幼児、幼児については、母子一体の療育を原則と
します。
学齢児に対しては、学習指導も並行して行われることとなります。また、青
年・成人に対しては、生活相談・指導、職業相談・指導が中心となると考えら
れます。
乳幼児、幼児、学齢児の具体的な遊びの内容は、大きな動作を基本とするも
の内、用具を使うものとしては、トランポリン、ブランコや、マット運動、功
技台を使った遊びなど、用具を使わないものとしては、お遊戯など、小さな動
作を基本とするものとしては、お絵かきやブロック遊び、粘土遊びなど、静的
な動作を基本とするものとしては、音楽療法や、読み聞かせなどが想定されま
す。その他、スヌーズレンと呼ばれる感覚刺激療法が試みられているケースも
あります。
「 療育室計画上の注意点 」
療育室をオープンルーム形式とすることは避ける必要があります。発達障害
を持つ子どもたちの多くは、大空間を苦手とする傾向がありますし、フレキシ
ブルに変化する空間は、混乱し、精神的に不安定になる恐れがあります。
また、大空間への配慮は、平面だけではなく、立体にも行う必要があります。
無用に天井の高い空間等も精神的な不安定さを助長します。バランスの取れた
安定感のある空間構成が求められます。
尚、基本的には極端に天井の高い空間は避けるべきですが、トランポリンな
どを利用する空間においては、頭がぶつからない様、ある程度の天井高が求め
られますので、その取り合いに注意が必要です。またブランコは、トランポリ
ンと共に、バランス統合の療育の為に度々用いられる用具ですが、天井に補強
が施された取り付けフックが必要となりますので、天井の形状、取り付け方法、
取り付け場所などに特に注意が必要です。
発達障害を持つ多くの子どもたちにとって、集団の中で遊びを続けることは、
容易ではありません。予め子どもたちが療育室の外へ退避することを想定し、
療育室外でもて継続的にプログラムに参加できる仕掛けを設けることは、子ど
もたちに精神的な余裕を与え、段階的に集団への適応能力を高める手助けとも
なります。また、療育室からの退避空間は、いきなり敷地外へ飛び出す危険を
緩和する空間ともなりますので、同時に療育者側にも精神的なゆとりを生み出
すと考えられます。
具体的には、ホールやラウンジ、中庭などを干渉帯または補助的な療育室と
して計画することは、有効な手段の一つです。また、療育室自体を多角形とす
ることは、左右の位置関係に距離感を生み、同時に中心に意識が集中し易くな
りますので、子どもたちの集中力を高める補助として効果があります。
( >>「 建築空間がももたらす療育的効果 」参照 )
発達障害を持つ多くの子どもは、音環境にも大変影響を受けやすいので、残
響音や反射音などにも十分配慮する必要があります。吸音性の高い内装材や、
下地材を導入することは効果的です。
音環境について、残響音、反射音に関して特段の注意を払うべきと述べまし
たが、音源としての音響設備については、高いスペックを求められないことが
一般的です。本格的な建築計画としてのAV設備は、一般的に必要としません。
建築的な配慮としては、音楽療法に利用するピアノ設置の為の床補強と、音源
として用いるポータブルCDデッキなど、簡易AV機器のための電源用コンセント
を設置すること程度です。
A屋外空間 ⇒中庭 60u(37畳)程度
その他庭、運動広場など 適宜
屋外で大きな動作を基本とするものの内、用具を使うものとしては、乗り物
遊びやプール遊びなど、用具を使わないものとしては、築山登りやかけっこな
どが想定されます。
Bトイレ ⇒20u(12畳)程度
トイレトレーニングも特に学童前の子どもにとって大きな療育要素の一つで
す。幼稚園や保育園と比べ同時利用が多いこと、付き添いも想定した広めの空
間を必要とすること等を配慮する必要があります。特にオムツ替えスペースは、
大きく取る必要があります。また、シャワーの使用頻度も多くなりますので、
動線も含め配慮が必要です。
C食堂 ⇒70u(43畳)程度 ( 内厨房は25u程度 )
遊ぶことと同様に、"食べ"ることは、発達上大変重要な刺激の一つです。ま
た、発達に問題を抱える子どもたちの保護者は、食事に対して苦労を強いられ
るケースが多いため、療育において補正していく作業は、母子双方に対して重
要と言えます。
D収納・倉庫
相当数の遊具が存在しますので、すべての遊具を収納することは大変難しい
ため、特に大型の遊具については、倉庫への格納に固執せず、出した状態で保
管することも同時に検討すると良いでしょう。
3.情報機能
以前に比べ、発達障害に対する社会的関心が高まったとはいえ、多くの保護
者にとって、我が子が発達障害の疑いがあることを受け入れることは、大きな
精神的負担を伴います。発達障害についての正確な知識を知ることや、同じ悩
みを抱える多くのお父さんお母さん達の話を聞きいたり話なしたりすることは
次のステップに踏み出すための大きな力となります。しかし、このような時期
に、保護者個人の力で、情報を集め、またコミュニティーを作り上げることな
どは殆ど不可能なはずです。常に様々なチャンネルを使って、正確で分かりや
すい発達障害についての情報を提供することと、親同士のネットワーク構築の
架け橋となることは、発達支援センターが課せられるもう一つの大きな責務で
す。
@ラウンジ ( 詳細説明作成中です。)
A会議室・集会室 ( 詳細説明作成中です。)
B事務室 ( 詳細説明作成中です。)
4.検査機能
( 詳細説明作成中です。)
( 目次 へ戻る>> )
V.『 解説 』
1.発達支援センターの現状とその方向性
発達障害者支援法における発達支援センターの主旨とその内容については、
上記『概要』にて既に述べました。また、現在、厚生労働省社会援護局により、
平成14年度から試験的に既存の社会福祉法人の施設を発達支援センターとして
指定し、予算化する試みが進められ、平成17年度現在で、36施設が指定を
受けていることも前頁の「はじめに」で述べました。
これらの既存障害者施設の認定による「発達支援センター化」は、早急に支
援の底上げを図る方策として、平成18年度以降、更に推し進められることが
予想されます。
しかしながら、もともと早期療育事業は、制度の谷間として財源が確保され
ていなかった関係上、知的障害児(者)の関係施設、若しくは自閉症児(者)
の関係施設の派生として辛うじて存在するか、草の根的に十分な建物も確保で
きていない状態で存在するのみで、現時点で「発達障害者支援センター」に求
められる機能を、簡単な改修工事程度で補完できるケースは、極めて稀である
と言えます。
一方で、発達障害者支援法が包括する支援の対象者は、自閉症、アスペルガ
ー症候群とその他広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これ
に類する脳機能の障害と、非常に広範囲に渡り、更に対象者の発現率も2%と
も6%ともいわれ極めて高く、特に療育的支援の側面から規模を考えた場合、
既存の建物の利用は、定員をはるかに超えており、混乱を招くことは目に見え
ています。
また、療育対象年齢に於いても、障害の種類にもよりますが、1歳6ヶ月検
診又はそれ以前の乳幼児に対しても間口を広げることとなりますので、グレー
ゾーンも含めた非常に広い年齢層と多彩な療育の空間を提供するためには、既
存施設の流用、共用は、困難であると同時に、事故等の二次的な問題の発生も
懸念されます。
また、その対象となる児童の評価手法が不確実な現状に於いて、安易な既存
施設の流用は、保護者の不安と混乱を助長する可能性もあり、子育てに関わる
様々な問題の拾い上げと支援の場という新しい概念で「発達障害支援センター」
を普及させるためには、新築でも増改築でも構いませんが、医療と療育の中間
に立った新たな受け皿として、新たな建物によって創設することが望ましいと
考えられます。
2.建築空間がもたらす療育的効果
@発達障害形成メカニズムと建築計画上の注目点
発達障害支援センターを設計する上でまず注目すべきは点は、自閉症とその
一連の障害の形成メカニズムが、発生原因そのものは脳の器質的障害に起因し
ているものの、実質的な問題となる症状や行動の障害は、実は幼児期の成長過
程において後天的に形成されると考えられることです。
自閉症の起因となる対人指向の弱さや知覚の特異性は、本人の意思や環境と
は無関係に、本来行われるべき養育者との相互干渉を阻害します。その結果、
一種の母性剥奪の状態を自ら形成していると考えられます。
自閉症以外の発達障害においても、基本的に対人関係形成を不得意とする傾
向が強く、二次的に対人不振や拒絶の傾向が助長され易いと考えられます。
こららの傾向が本人の意図するものではなく、また、対人拒絶傾向が定型化
した後においても、集団への興味をその内面においては持ち続けていることを
見逃してはなりません。
療育の現場においては、主に母親を通して相互交流を回復することを基本と
しながら、徐々に外界への情緒的な人間関係形成を促す働きかけが行われてい
ますが、建築計画上においても同様に、対人指向性の回復、促進を積極的に支
援する空間構成の計画が重要と考えられます。
A重層的療育空間の効用
具体的な方法論として、療育室で療育を受ける子どもたちが、対人関係の許
容範囲に応じて、段階的にストレスからの回避が可能な様に、また同時に、段
階的に、集団への適応練習が可能な様に、療育室を中心として、廊下やラウン
ジ、中庭などを、連続的、重層的に構成する方策が考えられます。
実例資料でも紹介している都城子ども療育センター"ひかり園"を例に取ると
療育室(=保育室)を取り巻く様にラウンジを兼用した少し幅の広い廊下を配
している部分がそれにあたります。
療育室と廊下の間には、高さ70cmのカウンターが設けられ、比較的絞っ
た状態で空間が繋がっています。この高さは、幼児が体を隠して目だけで参加
したり、ラウンジで母親の膝に抱かれて僅かに中の様子を覗くことを予め想定
しています。
更にその外側には、中庭が配置され、裸足のまま退避しても良い様に木製の
デッキとしています。この空間は、廊下よりも、もう一段階対人密度が薄いエ
リアとして機能し、尚且、いきなり敷地外へ飛び出す危険を緩和する役割も果
たしています。
( @療育室 「 計画上の注意点 」へ戻る>> )
3."診断"機能を含めない理由の詳細説明
発達障害者支援法は、発達障害者支援センター等を、「専門的な医療機関」と、
「発達(障害者)支援センター」に分けて定義していることは、『概要』の1で
既に述べましたが、「発達(障害者)支援センター」の定義では、「発達障害児
の早期発見に資するよう」とは記載されていますが、「診断」については、言及
していません。よって、同法の主旨では、診断機能は「専門的な医療機関」が担
うものと定義していると解釈できます。
そもそも、発達支援センターに診断機能を確保することは、非常に難しいと考
えられます。その理由は、診断可能な専門家(主に専門の児童精神科医など)の
極端な不足に因ります。日本自閉症協会の石井哲夫会長の説明によれば、専門の
児童精神科医は、多く見ても全国で200人程度とのことです。当然それらの医
師は、既に何らかの医療機関に属していると考えられますので、新たに設立する
発達支援センターに、常駐して勤務することは、多くの場合難しいと考えられま
す。
発達障害者支援法の法的解釈においても、また、実情から鑑みても、「発達支
援センター」と「専門的な医療機関」とは、別立てで確保することが基本と考え
られます。
更に言うならば、@診断可能な専門家が不足し、A診断方法が確立していない
現状で、診断そのものが、B早期療育の妨げの懸念やC保護者の不安を助長する
可能性もある現状においては、発達支援センターは、まずは、子育て支援の延長
線に立った、「育て難い」と感じるケース全般についての柔軟な受け入れ体制の
実現を図った方が、法の主旨にも支援を求める側の要求にも合致するのではない
かと考えられます。
@診断可能な専門家の不足
絶対的な診断方法が確立していないため、診断には高度な専門的知識に基づい
た経験と感が要求されますが、診断が可能な医師やセラピストが絶対的に不足し
ています。
A診断方法が確立していない
発達障害自体が多くの症状や状態の総称ですので、広範囲な症状や状態を見極
める診断が必要となりますが、現在行われている診断方法は、行動観察や反応テ
ストを基本として判断する限定的なもので、根本原因と考えられる脳機能障害そ
のものを発見することはできません。
B早期療育の妨げの懸念
早期発見・早期療育を進めるためには、明確な症状発現前からの受け入れが理
想ですので、診断を行う体制自体が、ケアを遅れさせる危険性を有しています。
C保護者の不安を助長する可能性
診断後に社会的な不利益が生じない法的な保障が整っていません。このような
現状においては、一斉診断(スクリーニング)が、保護者の不安感を招き兼ねず、
保護者が診断自体を拒絶する事態も予想されます。
( もちろん、発達障害者支援法に於いて「早期診断によって、適切な療育を受け
る機会を保障」させたことは、大変意義深く、発達支援を大きく前進させる内
容と考えますが、過渡期の段階においては、子育て支援の延長線上として、育
て難いと感じる全てのケースについて門戸を広げる柔軟な受け入れ態勢、つま
り、必ずしも完全な診断を先に行うことを前提としない体制の方が、むしろ、
保護者の理解は得やすいのではと筆者は考えます )
( 『 概要 』へ戻る>> )